櫻の王子と雪の騎士 Ⅰ





(は、初恋............)



ズキ──



(何、これ......こんな痛み、知らない......)



その言葉に何故か胸の痛みを感じるルミに対し、懐かしそうに目を細めるシェイラ。



「もう、ぼんやりとしか覚えていないんだけどね
本当に君にそっくりなんだ、名前は『ルミ』だったし、髪も『白髪』で......」


「えっ!?」



思いがけない事実にまたしてもルミは、シェイラの方へと身を乗り出した。



「わ、私っ、本当はここの国の人だったかもしれないんですっ!記憶がない12歳まで!!
もしかしてそれ、私じゃないですか? も、もし、そうじゃなくてもシェイラさん、私のこと何か知りません??」



前のめりになって尋ねるルミに驚いたように体を後ろに逸らす。



「ジンノさんに聞いたんです!
彼、私のお兄さんらしくて、さっきこの部屋にやって来て色んな事を教えてくれました。本当の名前は『ルミア・プリーストン』、聞き覚えはないですか?」



目を見開くシェイラにすがるように聞くその様子を見て、必死に思い出そうとするシェイラ。



「い、いやぁ、もう記憶も曖昧でぼんやりとしたシルエットしか覚えてないから......
それに、ジンノに妹がいることも知らなかったよ。あいつとは特には仲が悪かったし、俺も学校に通う以外、極力外に出るのを避けていたから......」


「......そう、ですか............」



少しでも自分の記憶が戻る何かしらのきっかけがあれば。



そう思って聞いたのだが、空振りに終わりがっくりと頭を垂れる。



しかし、



(極力、外に出ないって......ジンノさんとも仲悪いって言ってたし、まだ何にもシェイラさんのこと知らないんだ...私......)



肩を落とし落ち込むルミ。



シェイラはその姿を見て、何かまずいことを言ったかと眉を寄せ声をかけようとした、その時



コンコン



「失礼致します、少しよろしいでしょうか」



扉を叩く音が病室内に響き、続いて扉の奥から声が掛かけられた。



「......ああ」



シェイラが返事をすると、扉からエルヴィスが顔を出す。



扉から顔を出すエルヴィスは何度か目にしたことのあるオーリングの従者の筈だ。



その彼が



「セレシェイラ陛下」



と、シェイラに向かって言った。