顔と顔とが触れ合うほどに近づく。
傍から見れば、それはまるでキスをするために顔を近づけているようで。
純粋にイヤリングを見たいが為に引き寄せられるようにしてそうしているルミは良い。
しかし、そうされている側であるシェイラは顔を真っ赤にして硬直してしまっていた。
息を止め、時が止まったかのような錯覚に陥る。
白く艶やかな肌、すっと通った鼻筋、翡翠色の瞳をたたえた大きな目
「綺麗............」
白い肌に映えた赤く瑞々しい唇が言葉を紡ぎ、細く美しい彼女の手がシェイラに向かって伸ばされた。
「ちょっ!! ルミ!! 待ってっ......!」
「え、」
もう耐えきれない。
そう感じたシェイラは大声をあげる。
その声を聞き、ようやく我に帰るとルミは一瞬固まり
そして
「きゃあっ!」
状況を把握した途端、小さく声を上げて飛び退く。
「ご、ごめんなさいっ、そのイヤリングがあんまり綺麗だったからっ」
十分な距離をとった上で言い訳を並べる。
完全に無意識だった。
・・・・・・・
自分らしくもない失態に少しだけ頬を染め、無言になる。
だが、そのしんと静まり返った空気なんとも居心地が悪く、自ら気をそらすようにルミは話を振った。
「そ、そのイヤリング凄く綺麗ですねっ!」
「あ...ああ、これ?」
シェイラはまだ赤みを頬に残しつつも、それに答える。
「これね......大切な人からの贈り物なんだ」
大事そうにそれに触れる。
「大切な、人?」
「うん......亡くなってしまって、もうこの世にはいないんだけどね」
(亡くなって......)
いけない事を聞いてしまったかもしれない。
興味本位で聞いてしまった自分に反省するルミに気付いたシェイラは「気にしないでいいよ」と微笑み、言葉を続ける。
「君によく似た、美しく心の優しい人だった。俺にとって彼女は最初の友人で、俺の......初恋のヒトなんだ」



