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扉の奥に消えていくシェイラの後ろ姿を見送る。
その、ジンノの表情は険しいまま。
「..................」
何を考えているのかは分からない。
アルマとエルヴィスは、魔王のそんな姿をただ見つめていた。
普段は決してその表情を崩すことなどない。
だが、遠征から帰って来てからのジンノはどこかおかしい。
柔らかい愛おしいものを見るような表情もすれば、苛立ちにも似た苦しげな表情も。
そして、闘技場で見せた殺意が滲み出たようなものも。
《魔王》ジンノ
《偽りの王》セレシェイラ
そして、この国に突然現れた謎の少女
ルミ
ジンノは彼女のことをルミアと呼び、つい先日姿を現した死んだはずだった王子シェイラもルミと親しげな様子である。
一体この三人にどんな関係があるというのだろうか。
「...お前らは、アイツにつく事になったんだな」
二人の方へと向き直るジンノ。
そして、彼は言う。
「守ってやるんだな、ちゃんと」
アルマとエルヴィスはその台詞に小さく驚く。
てっきり、二人の中はかなり悪いと思っていたから。
しかし、次に告げられる言葉で、それが親切心から出たものではない事を知る。
「お前らが馬鹿らしい噂に流されるような奴じゃないことは分かっているが、一ついいことを教えてやろう
あの男は当時、どんなに責め立てられようと一言も反論しなかったし、肯定もしなかった。つまり噂は噂でしかない。真実はあの男本人しか知らないわけだ。まあそれでも逃げ出した『負け犬』という事には変わりないが」
とても面倒くさそうではあるものの、いつもよりもかなり饒舌に語るジンノ。
「信じようと信じまいとお前らの自由だが、精々自分の価値ぐらいは下げないようにしろよ。アイツはあれでも一応この国の王子だ、八年間も姿を消していた前代未聞のあほな奴でもな。お前らの中にちゃんとフェルダンの騎士としての誇りがあるなら、しっかり守ってやれ。...俺は守らないからな」
じゃあ。
片手を挙げ去っていくその背中を見つめる。
あくまでもこの助言はアルマやエルヴィスが自身の価値を下げることがないようにしているものであって、けして王子セレシェイラの為ではない。
まるでそう言っているように聞こえた。
王子を『負け犬』『あほ』などと愚弄し、挙句自分は王子を守らないと言う。
王家を守るための特殊部隊、その一員で副隊長だというのに。
「...何なんだよ...意味分かんねー」
ぼそりとエルヴィスはそんなことを呟いた。
矛盾にあふれたジンノの発言に困惑する二人。
二人の関係はやはり分からない。
それでも、シェイラを守る、それだけは何も変わりはしなかった。
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