皆から非難の目で見られる日々が続く。
それでも、シェイラは学校に通い続けた。
噂を否定するでもなく。
《偽りの王》と呼ばれてもなお、彼はそれまで通りの生活を続けていた。
見るからにやつれていくその姿を、家族はただ心配げに見つめることしか出来なかった。
シェイラは誰にも相談も何もしなかったから。
唯一真実を知っているであろう王族の指導を行う教員は口止めの魔法をかけられているために、誰一人口外出来ない。例えそれが実の家族であっても。
誰も真実は分からない。
だから、助けることもできずにいた。
そんな矢先の出来事だった。
王都で残虐な暴行事件が起こり始めたのは。
魔法を使える子供たちが次々と狙われた。
次第にエスカレートしていく残虐すぎるほどの暴行。
そして、ついに人が一人殺された。
殺人鬼となった犯人は留まることを知らず、虐殺が繰り返され、多くの親が愛する我が子を失い、悲しみに暮れた。
加えて、隣国間の抗争が過激化。
戦争が再び始まったのだ。
その為に特殊部隊の面々を始め、軍の衛兵たちは戦闘に駆り出され、国内の事件は蔑ろに。
それをしり目に、ますますエスカレートしていく虐殺事件。
人々は恨んだ。
王族にもなりえない《偽りの王》のせいだと。
中には《真の王》の力を疑った人々のせいだと、シェイラの力を信じる国民もいたが、圧倒的に前者が多かった。
そう思わずにはいれなかったんだろう。
無関係なシェイラを恨む。
そんなことをしても意味がないのに
失った命は戻ってはこないのに。
行き場のない悲しみ、苦しみ、口惜しさ、その全てを難癖を付けてまだ幼いシェイラへとぶつけていったのだ。
以前にもまして孤立していく王子。
非難の声を滝のように浴びながら、それでも王子は毅然と生活を続けていた。
もう誰も自分を信じていない、それを分かっていながらも。
何を糧にそう出来ていたのか分からない。
そう思えるくらい、シェイラは国民全員に訳のわからない理由で責められ非難し続けられても、一人で立ち続けていた。
その事件が解決されないまま、一年が経とうとしたころ。
ようやく、殺人鬼は逮捕された。
王都の下町の、とある祭司の一族の二人の子供。
その歴史的に優秀な魔法使いと名高い二人が互いに犠牲になりながらも、殺人鬼を追い詰めた。
一人は重傷を負い、一人は幼い命を落としながらも。
二人の功績は国を挙げ、大々的に称えられた。張本人であるジンノの、妹を失い傷だらけになった心情も考えずに。
これで、安心した日々が送られる。
国に平和が戻る。
誰もがそう思い、喜びあった。
そんな人々の心の中には、もう、伝説の第二王子は何処にも居なかった。
ちょうどその頃だったか。
国に平和が戻った同時期、シェイラが外に出ることはなくなった。
学校に通わなくなったことなど、気に留める人は誰一人いない。
そうやって《偽りの王》は、静かに人々の前から姿を消していった。
この十五年間、決して枯れることのなかった王国を彩るサクラが少しずつ枯れ始めていた─────



