「驚くと思うけど、よく聞いて」
先程までとは違う真摯な眼差し。
それを見て自身の気持ちがぴりっと引き締まる
「俺の名前は、ジンノ・プリーストン お前の兄だ」
・・・・・
言っている意味を理解するのに、いくらか時間がかかった。
兄?
困惑の表情を浮かべるルミアに対し、彼──ジンノは話を続ける。
「信じられないだろう、だが、これが真実
お前の本当の名前はルミア......ルミア・プリーストン
俺の妹だ」
──────
それから、ジンノは色々な話をしてくれた。
突然伝えられた事実に困惑するのは当然。
そう言って静かに過去の話をするジンノに、初めは呆然としていたが徐々に落ち着きを取り戻し始める。
むしろ、今まで欠けていたピースが埋められていく。
記憶が無い12年の日々を自分は何処でどう過ごしていたのか。その答えがここにあったのだ。
この世界にやって来て不思議と感じる安心感。
それまで笑うことすらできなかった凝り固まった感情を解きほぐすこの場所が、自分の本当の故郷だったからだったのか。
そう思うと、妙に納得ができる。
まだ完全に納得は出来ないものの、思いの外、彼の話を受け入れている自分がいる。
そして、目の前のその人は
(お兄さん......わたしの、兄妹......)
目覚めたとき、家族はいないと言われた。
たった一人で生きてきた。
寂しくなかったといえば嘘になる。
頼れる親戚も居なくて、施設に預けられたものの疎外感が否めず直ぐにそこを出て一人暮らしをするようになった。
頼れる人も何もなかった。
(だけど......)
今、目の前に居るのは『家族』なのだ。
自分を一番近くで見守り、大怪我までして守ろうと戦ってくれた人。
今の今まで、ルミを忘れずに思ってくれていた人。
「ずっと......ずっと、後悔していた......」
頬にかかる白い髪をその手でそっと退けなが、優しく包み込む。
しかしその表情はとても辛そうに歪んでいた。
「俺の弱さのせいで、ルミアを救えなかった......
たくさん傷つけてたくさん苦しめた」
だから、誰より強くなると決めた
その命はもう戻ることはないとしても
そうでもしないと、生きてはいけなかったから
骨ばった男らしい彼の手が、白い頬を滑る。
「ごめん」
その声は僅かに震えていた。
「ごめん、助けられなくて......っ」
大きな手も、小さく震えている。



