◇
ざわざわと辺りが騒がしい。
口煩い大臣たちをようやく黙らせたアルマとエルヴィスは議事堂から出て、それに気づいた。
「おいおい、何だこの騒ぎ」
「知らないよ。エルこそ知らないのか?」
知ってたら聞かねえよ。とあきれ顔のエルヴィスを残し、近くにいる衛兵を捕まえる。
「一体何の騒ぎなんだ」
突然アルマに呼び止められ、緊張する衛兵。身分の低い家出身の多い衛兵に話しかけるような貴族はめったにいないから当然だろう。
「は、はっ! 闘技場にて、プロテネス卿とプリ―ストン卿が何やら......」
「何だそんな事か。あの二人はよくやってるだろ」
「そうだよ。あの二人仲良いから」
エルヴィスも同意見なのかアルマの横に並び、ダルそうに寄りかかりそう言う。
「それが......」
だが、衛兵はそれだけではないのか言い渋る。
「何?他にまだあんの?教えてよ」
エルヴィスが色気たっぷり自慢の美貌で詰め寄る。
(男にそんな顔で詰め寄って...全くバカが)
身分を気にしないところは本当に彼のいいところで、だからこそ性格が真反対にもかかわらず昔から付き合っていけているのだが、男も女も見境なく堕とそうとする所はエルヴィスの昔からの悪い癖だと思う。
詰め寄られた衛兵は顔赤く染めて俯き、戸惑っているのが見て取れる。
「エル...いい加減にしろ」
鼻と鼻がくっ付きそうなほど近づいていた二人を引き離す。
エルヴィスは残念そうにしていたが、そんなことは気にしない。
「悪いことをした。ところで、本当に何があったんだ?」
ボーっとしていた衛兵は、はっと我にに帰って姿勢を正す。
「はいっ、とっ闘技場に亡くなったはずのセレシェイラ陛下が現れたとの報告がっ」
二人は意味が分からず、口をぽかんと開けたまま固まる。
先に正気に戻ったのはアルマだった。
(セレシェイラ陛下が......!?)
「その情報は確かなのか?」
疑いのこもったその声に衛兵はコクコクと頷く。
しばらく考え込んだアルマは「エル、行くよ」とエルヴィスの後襟を掴み歩き出す。
教えてくれてありがとう。と言って離れていく二人を衛兵はぼんやりと見送っていた。



