一方、ジンノは。
(やはり、これじゃ足りないか......)
拳銃をじっと見つめ、懐から別の弾を取り出す。
それを目にしたオーリングは目を見開き慌て出した。
「ジ、ジンノさんっ!!?
本当に何のつもりなんですか!??俺を殺す気ですか!?これでルミちゃんの何が分かるんです!!?」
ジンノが懐から取り出した弾はただの弾ではない。
死の呪詛
それが吹き込まれた弾丸だったのだ。
それを見て、普通でいれるわけが無い。
死の呪詛は闇の魔術の中で最も複雑で強力な魔法。現代でそれが使えるのは、昔からある闇の一族とこの男ジンノだけだ。
一度目の国王襲撃事件で王を狙った弾丸にこめられたものと全く同じものでもある。
一体そんな強烈な魔法をかけた銃弾を使って何をしようというのか。
だいたい、これはルミがジンノの兄弟なのかどうかを調べる為のもの。
ここまでする意味がわからない。
第一にここで黙っていたら、本当に殺されかねないのだ。
「............」
ジンノは黙ってオーリングを見ると、ふぅと1つ息をつき、面倒臭そうに話始める。
「お前はプリーストン家の人間が呼ばれるもうひとつの名を知っているか?」
「え?......いや、知りませんけど」
プリーストン。
オーリングが知る限り、別に貴族でもなければ、名のある一族というわけでもない。
「まあ、プリーストン家はただの祭司の一族だから、知らなくて当然か......」
拳銃も魔導銃に替え、大作りのそれに弾を込めながら、どうでも良さそうに話す。
「プリーストン家の人間に与えられたもう一つの名は───」
聖者《オルクス》
それを聞いたオーリングは目を見開いた。
その名だけは知っている。
「ジンノさんが、オルクスの一族だったんですか!?」
「ああ」
それだけ伝えれば分かるだろうと、ジンノは魔導銃を構える。
「殺す気で行く。全力で防御しろ」
今まで感じたことがないほどの殺気に、全身が恐怖で震えあがり、背中を冷や汗が伝った。
殺されると、本当に思った。
だから、震える手を諌めて、構えた。
二人の間を張り詰めた緊張感が漂う。
いつ、引き金を引いてもおかしくない。
そんな時間だった。



