白い扉をノックして開ける。



 音を立てずに静かに開く。



 「ジンノさん!」



 中から、音量を抑えた声でオーリングが応える。



 彼の傍には、真っ白で清潔なシーツの引かれたベッドが。



 そしてそれに横たわるのは、固く瞼を閉じたままのルミ。



「......容体は?」



 そう聞くとオーリングは、無言で静かに首を横ふる。



「...あれから、もう3日経つのに......」



 優しく彼女の頭を撫でながら、心配げに呟いた。



 ジンノも傍へ近寄り、サングラスを外す。



「俺のせいだ......」

「...何のことだ?」



 頭を抱えるオーリングに、ジンノが尋ねる。



「それは...」



 唇を噛みしめ、押し黙るオーリング。



 怪訝な表情でそれを見つめていた。



その時。



背後になにかの気配がした。



バッ、とジンノは振り返る。



するとそこには



「エンマっ!?何故ここにいる!?」

「お久し振りでございます、ジンノ様」



エンマが静かに佇んでいた。



ジンノの声に反射して、オーリングも振り返り、突然現れたエンマの姿に目を見開く。



「お前っ!?」



本来、エンマの存在は誰にも知られてはならない。そうオーリングにもきつく言われ続けていた。



ルミの病室には色んな人間が見舞いに来る。



現にジンノだって......。



(..................ん??)



今、名前、呼ばなかったか??



『エンマっ!?何故ここにいる!?』

『お久し振りでございます、ジンノ様』



呼んでた。


確かに、呼んでた。