居場所がない

『幽霊』は長い黒髪をみつあみにして、

膝まであるワンピースのようなボロボロの下着を着ていた。

目覚めて横にいる彼女を見て驚いて、

「誰っ」と言って返ってきた答えが、

『幽霊』

だった。

追い払う気力もなかった。

この漫画喫茶に、深夜に、

どれだけの人が漫画を読みに来ているだろうか。

帰る場所がない、でもホテルに泊まる金もない、そんな人ばかりではないだろうか。

そんな‘逃げ場’のような中で、虚構の人物を演じて、何がいけないのだろう。