高校生だった私は学校が終わると、よく拓真の家に入り浸っていた。
だから引っ越しが決まった時は私はとても悲しくて、見送りの空港で大泣きしてしまった。
すると奴はこう言ったのだ。
「うぜぇ。泣くなら来んなよ。俺はみのりと離れられて清々してる」
……あの時どれ程傷付いたか。
でもコイツは外面だけは良いから大変困る。
しかも、認めたくないが色白で綺麗な黒髪、愛らしい目元、全体的に子犬のような顔つきのコイツは……
昔からモテてモテて、それはモテて。
いつか化けの皮が剥がれる事を願っていたが、それは叶わなかった。
そして
今、その宿敵が私の目の前にいる。
「おいバカ。聞いてんのか」

