正直、バイト中ずっと拓真の事を考えてしまい、全く身が入らなかった。
「お疲れ様でした」
裏口から店を出てスーパーへ向かい、食料の買い出しをした帰り道、鞄の中の携帯が鳴った。
登録していない番号……誰だろ?
「もしもし?」
『あ、みのりちゃん?私、陽子、拓真のお母さんの陽子。覚えてる~?』
相変わらずテンションの高い陽子さんに気圧されたが、懐かしくて頬が緩む。
「もちろん覚えてますって!お元気でしたか?」
『ふふふ、そりゃおばさんはずーっと元気よ。みのりちゃんは?』
「もちろん私も良い意味でも悪い意味でも何も変わらず」
『そう……良かった!』
「それで、陽子さん。急にどうされたんですか?」
『あのね、拓真の事なんだけど……』
嫌な予感がした。
陽子さんの声に、私の心は今までにないくらい音をたてている。
でも絞り出すように声を発した。
「拓真が、どうしました?」
『あの子には言うなって言われてるんだけど、私がもう限界なの……実はね……』

