あの頃の君へ



それからというもの、拓真は私の作ったフレンチトーストを朝食べると、夕方頃まで出掛けるようになった。


どこに出掛けているかは断固として教えてくれないけど。



「不味いなら食べなきゃ良いのに」


相変わらず不味いと言って食べる拓真を横目で睨む。


いくら私だって一人暮らしを始めたわけで、昔より少しは料理のレパートリーだって増えている。



「でも好きだから」



ドキッ……じゃないわ。



パンケーキがだからね?



「ふーん。あ、私今日は夜バイトだから先寝ててね」



「了解。じゃ」



すると玄関の扉に手をかけた拓真が急に座り込んだ。



「ちょっ、大丈夫!?」



急いで駆け寄ってみると、顔色がとても悪い。



「拓真っ、具合悪いんじゃない?今日は家で……」



しかし拓真は首を振るだけで、もう一度立ち上がろうとする。



「平気だから。ちょっとした貧血?みたいなもん」



「でも……」



「じゃ、バイト気を付けていけよ」