あの頃の君へ




「……。」



違う!今の胸のトキメキはあれだ!


たまに散歩中の犬を見かけると嬉しくなるあの現象と同じやつよ。うん。



「あ、そうだ。コーヒーのお礼ついでに買い出し付き合えよ」



コイツは何でもかんでもお礼が無いとならんのか……。



「何買うの?」



「歯ブラシとか服とか、あとはー」



指を折りながら呑気に話す拓真に私は溜め息を吐く。



本当にフラッと帰ってきたのね……ん?



「あれ?拓真って私の一人暮らししてる家、知ってたんだっけ?」



「毎年俺に年賀状送りつけてただろうが」



あ、そういえばそうだ。



でも結局拓真からの返事は一回も無かったんだけど。