「はぁ?訳分かんないけど…」

椿は榎本の方を見て、たずねた。

「あぁ〜つまりなぁ…冬馬が一年の時にさぁ、オレが張り切って絵のアドバイスをしたら、どうなったと思う?」

「さぁ…?」

「ふっふっふ…何でなんだろうなぁ…見事に、調子くずしやがってなぁ…」

「すみません…」

冬馬が赤面しながら、謝った。

椿はまだ訳が分からず、冬馬をガン見した。

「つまり、ものすっごく繊細なんだよ、冬馬は…ホメても、ガタガタと絵が崩壊するし…冬馬だけかと思いきや、ほぼ全員、さっきまで良く描けてた絵が崩壊するもんだから、オレは何も言えなくなってなぁ…」

榎本は切なげに、ため息をついた。

「…意外だな…」

椿が感心しながら冬馬を見ると、冬馬はそっぽを向いた。

「じゃあ、先生の仕事って?」

「品評会で、批評しまくってるぜ…文化祭前にやるから、見に来いや…」

「…ふだん言いたい事を抑えているせいか、長い…いや、熱いよ…面白いから、見に来れば?」