あのひとを見た瞬間に、危険だと感じた。

なにが危険かって?

強烈にわたしを惹きつける磁石のようなひと。

今までにこれほどまでに警戒したことがない。

自分から好きになりそうだった。

いや、もう既に好きなっている。

けれど、ダメ。

わたしには、最愛の息子が居る。

この子のために、旦那とは別れられない。

旦那には、愛を感じたことがないけれど、

一応は人生のパートナー。

あのひとには、

最後にさよならぐらいは言いたかったし、

いつも煙草を吸う場所を譲らせてばかりいたので、

お礼は言いたかった。

けれど、これでよかったんだ。

そう自分に何度も何度も言い聞かせる。

もう逢うこともないだろう。

バイバイ。

名前も知らない魅力的な男。