塾の帰り道。

……「愛華!?」

街を歩いていると、突然、後ろから名前を呼ばれると同時に手首を掴まれた。

振り向くと、知らない男の人だった。
身長は…180㎝以上はありそうで、高くて。
年は、私と同じ高2くらい。
学ランの下に真っ赤なTシャツを着て。
髪は金髪。
私の通う進学校には全然いないタイプ。
(ていうか、いたらヤバいと思う…。)

私の知り合いに、こんな金髪な男の人はいないハズ。
こんなヤンキーな友達はいないはず。
なのに、このヤンキーは私の名前を知っている。
…なんで?もしかして、何か危ない人??

私がきょとんとしていると、ヤンキーは私の手首を掴んでいた手を慌てて離す。

「あ…いきなりごめん!! 愛華…だよね?」
「……私、これから用事があるので。さよなら。」
ちょっと、怖い。私、こんなヤンキー知らないもん!!
早く逃げよう!!
「あ!待って! もう暗いし、送ってくよ!」
ひょえぇぇぇぇ!! 何でそーなるの!?
怖い、怖すぎるって!!
「け、結構です!!」
「…愛華、何か誤解してる? 俺のこと、覚えてない?」
……え? 覚えてない?って、それって、このヤンキー私の知り合いってこと?
「俺だよ、俺!! 爽だよ!!」