あの日、大量のジュオームを浴び、変化した自分の体を見たとき、リリーは絶望した。
異様に膨れ上がった頭。その首から下には、両腕も無く、両足も無く、胴体も腰も無くなっていた。
長い長い大腸だけが生えており、汚らしくぬらりと輝いていた。


「何これ……、何これ!?いやだ、いやだ、いやだよおっ!」


顔を青くし、泣き叫びながら、その丸出しになった長い大腸を振りまわした。どごんどごんと、土煙があがった。


「何が嫌なんだい?」


そのとき、やさしい声がかけられた。


リリーの目の前をひとりの少年が、浮かんでいた。


白髪の美少年。


ルークスだった。


ルークスは、リリーの巨大化した顔をそっとなでた。
リリーは、少し落ち着いてきた。


「何が嫌なんだい?」


ルークスはもう一度聞いた。
リリーは鼻水をすすりながら答えた。


「だって、だって、こんな格好になったら、わたし、いろんなひとに、化け物扱いされちゃう。嫌われちゃう。みんなにいじめられちゃう。きっと何かの研究の対象とかになって、さっきみたいに痛いことされちゃう」


巨顔を震わせた。


「大丈夫だよ」


「え?」