策郎、雄介、豊作が乗ったラザガマシン三機は、琵琶湖の上空で停止した。


「送られたデータによると、八乙女研究所の第三支部は、この辺りにあるはずなんですが……」


雄介が首をかしげた。


「本当かよ。何もねえぞ」


策郎はモニターから琵琶湖を見渡すが、それらしい建物は全く見当たらない。ゆっくりと波立つ湖面が広がっているだけだ。


「データが間違ってんじゃねえのか?くそ、ミチは無事なのか?」


豊作は、歯を喰いしばり、壁を殴った。


その時、外部から通信が入ってきた。
三機の通信モニターに、一人の白衣を着た男の姿が映った。
異様な風体の男だった。
年齢は、おそらく策郎より年上、二十七歳くらいの男だ。ぼさぼさの髪型に、不精髭をだらしなく生やしている。
右目の周囲に酷い火傷を負っていた。その部分だけ筋肉や脂肪が露出しており、眼球がにごった色をしていた。
そんなにごった目玉をかっと見開きながら、男はモニター越しにこちらを凝視していた。


「なんだこいつキモッ」


策郎は顔をしかめた。


「あなたは、誰ですか?」


雄介が聞いた。


「おれかぁ?くくく、おれの名は、おれの名はぁぁぁぁぁっ!!」男はその場で三回転すると、ぴたっと止まり、両手を広げて叫んだ。「ここっ!八乙女研究所第三支部の所長!八乙女竜児博士だあぁぁぁぁっ!!ジャンジャカジャーン!!」


策郎は、反射的にこいつウザイと思った。