ラザガ



人面手首は怒りを顔に浮かべながら、残酷号をにらみつけた。そして跳躍しようと、指に力をこめた。
そのときだ。


びしっ……
びしししっ……


地面にヒビが入ったかと、思うと、人面手首の立つ場所が崩れ、沈みだした。
蟻地獄にはまったかのように、人面手首の指が土砂に埋もれてゆく。


「ひひひ、さっきそのあたりの地盤を破壊しておいたんですよ。これであの化けものは、しばらく動けない」雄介は、仮面の下から、舌なめずりの音をたてた。「さあ、『演出』の時間ですよ」


残酷号はドリルを下に向け、勢いよく降下した。


豊作が怒鳴った。


「雄介!相手は得体の知れない化けものだ!不用意に近付くな!」


そのとき、人面手首に異変が起きた。


赤子の顔に、何か模様のようなものが浮かびあがってきたのだ。
それは血管だった。
メロンの網目模様のようにたくさんの血管が、目の周囲に浮かびあがっていた。
血管が何かを目に送っている。そんな様子だった。
そして、人面手首は、舌足らずな声で、信じられない言葉を発した。




じゅおおおむ、びぃぃむ




人面手首の両目が赤く輝いた。


瞳孔から光線が走った。


「なっ!?」


雄介はとっさに操縦捍を横に倒した。


残酷号は、どうにか、ぎりぎりでそれをよけた。


なのに、凄まじい熱が襲ってきた。


その熱は、装甲を抜け、操縦席まで達し、雄介の着る強化服ですら防げず、服の中でジウッと音を立てて、雄介の肉を焼いた。


「ぐあああっ!」


雄介は思わず操縦捍を離し、肩を抑えた。


そのせいで残酷号は、木に衝突し、またもや墜落した。


頭を強く壁にぶつけてしまい、雄介は気を失った。