「古宮さんと矢口くん……副長の部屋の前で堂々と痴話喧嘩ですか?」
口元の笑みをそのままに、沖田先生……本名、沖田総司先生が言った。
「痴話喧嘩するのは勝手だけどさ、せめて場所や状況とかは気にしてくれよ」
その後ろで藤堂平助先生も俺たち二人を嗜める。
二人とも隊務から戻ってきたばかりなのか、浅葱色の羽織を着たままだった。
「すみません」
俺が一言そう謝ると、お二人は気にするなという風に小さく笑う。
「ーーおい、いつまでくっちゃべるつもりだ?沖田、藤堂…お前らもいるんだろ。さっさとそこの二人を連れて、入って来い」
副長の声だ。
しかも声色からして、かなり機嫌が悪いようで。
俺の背後にいる蘭丸が、小さく悲鳴を上げた。



