「俺はただ…」


分かるよね、京。
京だってきっと、俺と同じことをする。


「…京を守りたかっただけだよ」


吉田の刃が、京の顔を傷つけるなんて、許せない。


それ以上に、京の苦しむ顔を、見たくない。


京に、死んで欲しくない。


それだけなんだよ。


「馬鹿…だからって、お前が代わりに怪我してたら…意味ないだろうが」


意味?


意味ならある。
自分を代償にしても、負う価値のある傷だと、俺は胸を張れる。


「…やっぱり京は、分かってないな…」


「は…?」


京の肩をそっと押し返して、崩れた襟元を直す。


京はまだ、名残惜しげに俺を見ていた。


こんな時だけ、子供みたいな顔をする京。


俺だけが知る、京の一面だと思うと、切なくも嬉しい。


「なんでもない…ねぇ、京」


「なんだ?」