一人になると、いろいろ考えてしまう。
山崎にも山口さんにも、休めと言われたけれど。
嫌なことばかりを考えてしまう自分がいた。
本当なら俺の右眼に刺さるはずだった短刀が、蘭丸の左眼に刺さったんだ。
流血沙汰を嫌い、争いで刃物を使おうとしないあの蘭丸が、自らそれに飛び込んだ。
一体どれほどの勇気を自分に奮い立たせたんだ、あいつは。
畳に染み込んだ蘭丸の血は、今も鮮明に思い出せる。
蘭丸の流した血は、医術を全く知らない俺にでさえ、危険だと思える程だった。
蘭丸は……助かるのだろうか。
そんなことを考えても仕方が無い。
どんなに願っても、医者の治療に賭けるしか術はないんだ。
一つ、舌打ちした。
結局、俺はあの任務で何ができた?
吉田と諸伏相手に、まるで歯が立たなかった。
「……くそったれ」
俺はただ一言吐き捨てると、目を閉じた。
俺の傷は浅い。
早ければ明日からまた隊務に出られるだろう。
俺が今すべきことは休んで、体力を取り戻すことなんだ。
半ば自分に言い聞かせて俺は、抗うことなく眠りに落ちて行った。



