Closed memory


俺は蘭丸を壁際に凭れさせると、背に隠すようにして吉田と対峙した。



諸伏は吉田に言われた通り、静かに俺たちを静観している。



手を出す気はないみたいだ。



「君だけ得物がないのは平等じゃないからね。……これ、返すよ」



吉田が放り投げてきたそれは、山崎さんに渡された護身用の短刀だった。



「俺は短刀で、お前は大刀を使うの気か?」



「安心しなよ、俺はコレを使うから…さっ‼︎」



吉田はあっという間に俺の間合いに入ると、顔目掛けて短刀を振り上げた。



「ーーくっ‼︎」



紙一重でそれをかわしたものの、幾本かの髪が宙を舞う。



「へぇ。……なんだ、結構やるじゃん」



「ーー黙れ」



蘭丸はまだ目覚めない。
吉田のやつ、どんな薬を盛りやがったんだ。



蘭丸に気を向けつつ、俺は次々と繰り出される吉田の攻撃を受け流していく。



「あのさぁ……時間でも稼いでるつもりなんだろうけど、いい加減にした方がいいよ」



「……っ」



交わし損ねた刃が、俺の頬を掠める。
生暖かい血が、頬を伝う。



吉田の速さが一段と増した。
此奴の持久力どうなってんだよ。



細っこい身体してるくせに体力は底なしか。



「余所事考えてる暇ないんじゃない?」



吉田はまた一気に俺を責め始める。



「俺は君を殺しはしないけど、片目を潰すくらいならしてあげてもいいんだから」