土方副長に改めて俺のことを聞かれ、今までのことを思い返す。
浅葱色の隊服を貰って、初めてそれに袖を通したのは、あの日から三日経った時だった。
沖田先生に連れられて、京の町を巡察した時、俺は何を思ったのだろう。
念願だった新選組に入隊して、正式な隊士として、隊服を与えられた。
その時に感じた感動は、今でも鮮明に思い出せる。
でも……。
あの羽織を着て、巡察した時感じたのは……。
京の人たちから向けられる、冷たい目に対する【戸惑い】【哀しみ】【怒り】。
そういった、感情だったはずだ。
誇らしさなんて、微塵も感じなかった。
突き刺さる視線が、耐えられなかった。
堂々と前を向けなかった。
でも他の先輩達や沖田先生は、周りの目を全く気にすることもなく、巡察だけに没頭していた。
その背中が、何よりも……眩しかった。
「俺は……この数週間で、先輩達や沖田先生が、どれだけ強いのかを思い知りました。剣術が強いとかそういう意味じゃなくて……」
言葉がうまく出てこない。
俺は必死に言葉を探して、紡いでいく。
「……あの人達自身が、信念の塊のように見えたんです」