蘭丸は目を伏せると、ごめんと囁いた。
また、風が吹く。
蘭丸の薄茶色の髪が、揺らされた。
「古宮、矢口、配属が決まったから、土方さんの部屋に来い」
藤堂先生が、白い吐息を吐きながら俺たち二人を呼んだ。
返事をして立ち上がると、蘭丸は不意に俺の裾をきゅっと掴んだ。
「どうした」
蘭丸はまだ下を向いたまま。
一度も俺と顔を合わせようとしない。
「……なんでもない。ごめん」
蘭丸は俺から手を離すと、静かに歩き出した。
「そうか…」
なんでもない訳ではないだろうに。
蘭丸。
お前はいつも、どうしてそうなんだ。
なんで、俺に隠す。
何を考えてる?何を思ってる?
「蘭丸」
今度は俺が、蘭丸の手首を掴む。
「お前は弱くない。俺は強くない」
「……」
「お前は強くない。俺は弱くない」



