Closed memory


「そう硬くなるな。沖田と藤堂は寛ぎすぎだが、楽にしていい」



俺たちを気遣っての言葉だろうけど、全身に入った力は、そう簡単には抜けない。



「もー。土方さんってば、何もそんな顔で凄まなくてもいいじゃないですか」



沖田さんはどこからか干菓子を取り出すと、それを一つ頬張った。



「それに、無理して私たちを『沖田』とか『藤堂』って呼ばなくても……。前みたいに名前でいいじゃないですか」



「そうだよ、土方さん」



藤堂先生は、いつ煎じたのか分からないお茶を飲みながら言った。



「年が明ける前までは俺のことも『平助』って呼んでたのに、最近じゃ『藤堂』って。少し他人行儀過ぎるよ」



「いいんだ。これからも俺はお前らのことをそう呼ぶ。口答えしてんじゃねぇよ」



「「……」」



そういえば、苗字だった。
でも、二人が廊下でふざけてて、土方副長が怒鳴った時は、名前。



怒って素が出たんだろうけど、なんでわざわざ苗字で呼ぶことにこだわる?


一体どうして……。
苗字で呼ぶ必要があるんだ。