冬の冷たい空気が、俺を包んだ。 先ほどから降り始めた雪は、止むことなく降り続けている。 「……また、この季節がきたのか」 全てを白く染める雪は、あっという間に白銀の地を築く。 花も草も何もかも、隠してしまう。 「……京(みやこ)」 名が呼ばれた。 振り向く。 「蘭丸」 俺もまた、目の前にいる男の名を呼んだ。 蘭丸は、首に巻いた黒い布に顔半分を埋めて、俺の横を通り過ぎた。