キャロリナ

それからずっと山口君は私の腕を引っ張ったまんまあるいていた。
何故かわかんないけど、私の家の方向で…、
山口君もこっちの方なのかな?なんて思っちゃう。
さっきからずっと喋ってなくて、少し気まずいながらも、聞いてみたくて、

「ねぇ、こっちにあるの?家」

ときいてみた。なのに、山口君は何も答えてくれない。
何よ。さっきから腕を引っ張ってるけど痛いの我慢してんのに。
そんなことも関係なく、無視かよォー!!!

「もう、やだ!!!」

私はそう言って、山口君の手を振り払った。

「何無視してんのよっ!
しかも腕痛いのよっ!そんくらい考えてよ!」
「わりぃ。」

山口君は私がキレると、少し悲しい顔をして、謝ってきた。

「べ、別にいいけど…」
「…本当にごめん。
…んじゃわりぃけど、俺帰るわ」

そう言うと、今来た道と逆の方向に歩いていった。
えっ?家こっちじゃないの?
じゃあ、私の家、知ってるの?
うぅ、なんか頭が急に痛くなってきた。

『なつちゃーん!
僕、なつちゃんのこと、大好きだよぉー』
『本当に?わたしもまこと君のこと、大好きぃ!』
『やったぁ!じゃあ大きくなったら、僕と結婚してくださいっ!』
『うんっ!』

えっ?なにこれ。
なつって、私よね?まことって、誰?
もしかして、山口君?
…なわけ無いよね……、小さい頃にあったことなんて1回もないもんね…。