「奈津〜、もう、どうしよう…。
海斗君が、かっこよすぎ〜。」
「はいはい、わかったよー」

私の名前は高城奈津。中2です!

そして、自分の好きな人をこのように伝えてくる子は、私の自慢の親友の
一之瀬桃乃。

テストはいつも上位だし、運動も良くできる。
その上、モデルにでもなれそうなほど可愛いくて、女子と男子とも仲がいい。

自慢以外のなんにでもない。

桃乃と自分のそばかすだらけの顔を頭の中で比べてみて、自分の不細工さに呆れる。

「奈津は、好きな人いないの〜?」
「うぇっ!?」

考え事をしていたため、驚いた。

「なぁに、それ〜。
で、どうなの?いるの?いないの?」
「えー、今はいないかなぁ」
「残ねーん。早くつくってねー。
奈津の恋バナ聞きたいしさ」
「いつかね、いつか」

このクラスは、今、恋バナをすることが流行っているらしい。
どの子もみんな、誰々君がかっこいいだの、優しいだの、付き合い始めただの言っている。
私も、みんなにおいて行かれないように、好きな人を作ろうと、周りを見渡した。
教科書を読んでいる人、机に集まって喋りあっている人、いろいろいる。

「どの子も、あんまりでしょ」
「なんか言った?」
「ううん、なんもない」

私にはまだ、早すぎるのかもしれない。早く、好きな人見つけたいな。


それから、適当に時間を潰し、帰りの時間になった。
みんなが一斉に部活に行く。
私は帰宅部で、桃乃はソフトテニス部だから、一緒に帰ることはできない。

「奈津〜、また明日!ばいば〜い!」
「じゃね」

家に帰っても、特にすることもないし、少し時間をつぶそうと窓の外を見ていた。
外は日が照りつけ、9月だけあって暑そうだ。
外では、部活の子達が、声を張り上げて楽しそうに部活をしている。

見ていると、なんだかうとうとし始めて、少しなら寝てもいいかと思い、私は、目を閉じた。