ひまわり

「おう。大袈裟に治療してやるよ♪」

冗談っぽく言ったけど、私の手のひらを見ている遼くんは頭を抱えていた。

「じゃあ怪我には気をつけて遊んでね。」

片付け終わった救急箱を持って立ち上がった先生。
その先生の袖をとっさに掴む。

「どうしたの?」

「あ…っあの…。しゃ、写真!一緒に写真を撮ってもらえませんか!?」

向けられた笑顔に緊張して、早口でお願いをする。
もうすぐ集合時間になってしまうから、今しかチャンスはないって思った。
これこそ怪我の功名!!

「いいよ。じゃあ…遼!シャッター押して!」

「は!?俺!?」

差し出したスマホを、遼くんが渋々ながら受け取ってくれる。
遼くんが立ち上がり、代わりに先生が隣に座る。

先生との近い距離
初めてのツーショット写真

上手く笑えている気がしない・・・!!

「撮るよー。はい、チーズ。」

カシャッと軽快な音と共に、私のスマホに思い出が刻まれた。
遼くんからスマホを受け取り、写真の確認をする。
やっぱり私はひきつった笑顔・・・その隣で先生は、目尻を下げた幼い笑顔を向けてくれていた。

「いい感じに撮れたな。俺にも送ってよ。」

「え?…送る?」

友達のようなことを言う先生。
目を開いて先生を見ると「あっ!そうか。」と何かに気がついた様子。

「バスケ部しか俺の連絡先知らないのか~。遼、教えといてよ。」

「生徒をナンパっすか?」

「そんなんじゃねぇよ。」

ドキンッ
胸が大きく跳ねる。
これは・・・先生の連絡先を知るチャンス?!

「おーちゃん!俺も消毒してくれない??」

「おぉ~。すぐ行く~!じゃあ行くね。」

離れたところにいた男子に呼ばれて先生は行ってしまった。