ひまわり

「気持ちは嬉しいけど…私…好きな人いるから…。」

ポソッと本当のことを言った。
遼くんなら知られてもいいかな・・・なんて思って。

「…傷口、洗いに行こ。」

それだけ言って、遼くんは歩き出した。
さっきとは違って手は引かれていない。

「遼くん…?」

様子がいつもと違う気がしながらも、深くは考えずに、静かに後をついていく。
五分もしないうちに、水道に到着した。
すぐに傷のある手のひらを水で流す。
冷たい水が当たるとしみて、ジクジクと痛んだ。

「結構、擦りむいてんじゃん。」

汚れが落ちた傷を見た遼くんが言った。
砂なんかでわからなかったけど、手のひら全体が赤く血が滲んでいる。

「絆創膏じゃ足りないかも…。」

持っていた絆創膏を傷に当ててみたが、やっぱり傷の方が大きい。
ほとんど傷が覆えていなく、絆創膏の意味がない。
膝とか他のところなら、このままでも何とかなるかもしれないけど、怪我した右手は私の利き手。
傷が見えたままじゃ何も出来ない。

「先生のところ行こうか。」

「そうするしかないよね…。」

怪我しましたって先生のところに行くなんて・・・子どもみたいで気が引けたけど、仕方がない。
でも、先生達って今どこにいるんだろう?