ひまわり

「…ね~…。永峰~…!」

聞き覚えのあるこの声は・・・

「遼くん…?」

声のする方を見ると、やっぱり遼くんがいて、こっちへと向かって来ていた。
すると、再び森くんに左腕を掴まれ、引っ張られる。
不意に腕を引かれたせいで、私はその場に転んでしまった。

「…っ痛…。」

「ごめん!大丈夫?」

勢いよく地面についた右手のひらが、少し擦りむけてしまい、ジンジンと痛みだした。

「…永峰!大丈夫!?」

後ろからきた遼くんが慌てたように、私のそばにしゃがんだ。
痛む手のひらを見つめた後、遼くんは立ち尽くしている森くんを睨む。

「お前…何がしたいわけ?怪我させてんじゃねぇよ。」

「遼が邪魔しにきたからだろ。」

「この間のことがあるから、心配で見にきたんだよ。もう永峰と二人きりになるな。」

怖い雰囲気の二人に、私はただ見ているだけだ。
でも、私が転んだせいで二人が喧嘩になるのは止めなくちゃいけない。

「遼くん、私は大丈夫だよ?そんなに怒んないで?」

「擦りむいてて大丈夫じゃないでしょ。傷、洗いに行こ。」

立ち上がるのを支えてくれ、優しく手を引いて、洗い場に行こうとした。

「待てよ!俺の話が済んでない!」

でも、森くんが強く引き止めた。

「怪我してんだから、話なんて後で良いだろ。」

手を掴んだまま、遼くんが言ったけど・・・ここまで必死に話したいって言う森くんを無視して、私は行けないと思ってしまった。

「怪我は大丈夫だから、森くんの話を聞くよ。」

私の言葉を聞いて、遼くんは言葉をグッと飲み込んだようだった。