ひまわり

森くんの後についていく。
アスレチックからちょっとだけ離れた場所。
人がいなくて静かだから、話をするにはピッタリだ。

「…話ってなに?」

沈黙に耐えきれなくて、森くんの背中に問いかける。
すると森くんは立ち止まり、振り向いて私と向き合った。

「遊園地では…追い詰めちゃってごめん。」

謝りながら、頭を下げる。
突然のことに何て言えば良いかわからない。
戸惑っていると、下げていた頭を上げて、森くんは話を始める。

「記憶喪失になってるなんて知らずに、追い詰めてごめん。斎藤さんに聞いた。」

「ううん。気にしないで。記憶喪失なんて誰も考えないでしょ?」

「あぁ…。でも、辛い思いさせちゃったから。」

シュンと小さくなる森くんに笑顔を見せる。
あの日のことを怒ったりなんてしていないから、気にしないで良いよってことをわかってもらいたい。

「本当に気にしないで!もう体もなんともないし。…それだけなら、私は戻るね。」

「待って。もう少し、俺の話を聞いてくれない?」

こくりと頷く。
森くんは深呼吸をしてから、私の目を見た。