ひまわり

「…ごめん。私、あっちに行ってるね。」

愛実に一言だけ残して、森くんのいるのと逆側に歩きだす。
近づいていくのはアスレチック。
遼くんが楽しそうに遊んでいる姿が見えた。

とっさに逃げてしまったのは、やっぱり過去の話をされたくないから。
また思い出すように強要されたら・・・私の体が拒否反応を起こす。

いやだ・・・
もうあんな激しい頭痛に襲われたくなんてない

遼くんが私に気がみたいで、大きく手を振っていた。
それに答えようと手をあげようとした時────後ろから強い力で掴まれた。

振り向くと、そこには森くんの姿。

「なんで逃げるの?」

真っ直ぐな視線から逃げるように下を向く。
腕は・・・遊園地の時のように、簡単には逃げられそうもない。

「どうしても話したいことがあるんだ。…逃げないで話を聞いてくれない?」

「でも…。」

「お願い。少しで良いから…時間をくれない?」

必死な声。
その声につられて顔を見ると、泣き出しそうな瞳だった。
こんな男の子の瞳を初めて見た私。

「…わかった。」

気がつくと、頷いてしまっていた。