ひまわり

思わず声を出してしまい、口を押さえていたのは、教室の後ろにいた大野先生だった。
クラス中の視線が自分に向いていることに気づき、先生は慌てる。

「あ…いや…。ごめんね、話中断させちゃって!永峰さんは体調は大丈夫そう?」

「あ…大丈夫です。昨日はご心配お掛けしました。」

「それなら良かった。ごめんね。話を続けて下さい。」

大野先生に促され私は自己紹介を再開。
クラスの視線も私へと戻ってきている。

「えっと…六組出身のクッキング部です。友達からは結麻って呼ばれます。…よろしくお願いします。」

ペコッとお辞儀をして席に座る。
次の人が話始めているが、私はそれどころじゃなかった。

大野先生が私を見てた
私の名前に反応して声を出した
・・・なんて自意識過剰
昨日、倒れた子が自己紹介を始めて、ただ気になって声を出しちゃっただけだよ
「大丈夫?」って聞かれたじゃん
深い意味はない・・・ただ生徒の体調を気にしただけ・・・

そう自分に言い聞かせてみた。
今、胸がドキドキしているのは自己紹介の緊張のせいじゃない。
先生と会話で出来たことで嬉しくて、胸が高鳴ってる。

チラッと後ろを見ると笑顔で自己紹介を聞く大野先生。
その姿を見るだけで、私は夢の中にいる気分だった。