ひまわり

「小三のバレンタインにチョコくれたよね?映画行ったことあったよね?いつも一緒にバスケしたよね?コーラが好きって言っていつも飲んでたよね!」

──やめて

「クラスの女子にいじめられていたことに気づけなくて、本当にごめん。けど…突然転校しちゃって、俺、寂しかったんだよ!?」

──やめて
それ以上言わないで
頭がズキズキする

「高校で【永峰さんだ】って気がついた時、本当に嬉しかったんだ!知らないなんて言わないで!」

──やめて
痛い・・・
頭が痛い

頭の痛みのせいで気持ち悪くなってきた時だった。

「いた!永峰!!伸也!!」

私の名前を呼ぶ遼くんの声が聞こえた。

「結麻!!どうしたの?大丈夫!?」

遼くんの声のすぐあとに聞こえた愛実の声に、ホッと胸を撫で下ろした。
愛実は私の肩を支えてくれる。

「永峰!?どうした!?…伸也。お前、永峰に何したんだよ!!」

「は!?何もしてねぇよ!ただ昔の話をしてただけだ。」

「ただ話してただけで、こんなに苦しそうにしねぇだろ!」

遼くんは森くんに掴みかかって問い詰めていた。
遊園地に似合わない雰囲気の私たちを、周りの人たちは怪訝そうな顔をして見ていた。

「泉谷!伸也!ちょっと落ち着け!」

颯人くんが二人を止めてくれた。
その間も私の頭は痛み続ける。

「大丈夫?これ結麻ちゃんのなら少し飲んだ方がいいんじゃない?」

千沙ちゃんが心配そうに、横に置いておいたコーラを差し出してくれた。
ふるふると力なく顔を横に振る。

「ごめん。コーラ飲めないの…。」

すると私の言葉が耳に入った森くんが反応した。

「飲めないって…なんで?前は好きだったじゃん。なんで俺のことそんなに拒否するんだよ!?」

森くんの必死な声が頭に響いた。
治まらない頭痛。
少しずつ自分の息が荒くなっていくのがわかった。