ひまわり

「本当に知らないの…。」

言葉と同時に飲めないコーラをベンチに置いた。
チラッと森くんを見ると、驚いたような顔をしている。

「なんで知らないなんて言うんだよ。小三と小四で同じクラスだったんだよ?」

「なんでって言われても…。私、その頃のこと覚えてないんだもん。」

「覚えてないってどうしてだよ!?」

森くんに肩を強く掴まれる。
両肩を掴まれて、私と森くんは向かい合うような形になった。
すごく必死な雰囲気が、私には少し怖い。

「確かに最初は俺も気づかなかったよ?でも、学校で見かける度に【やっぱりそうだ】って思うようになったんだよ。」

肩を掴む手に力が入る。
ぎゅうぅぅぅと肩が強く痛む。

「ただのクラスメイトじゃない…。俺ら…両想いだったんだよ。」

「…両…想い…?」

身に覚えのないことだから、問うように言葉を繰り返した。
目の前の森くんの目には悲しみが混ざっているような気がする。

「小学生だったから、付き合ってたとかじゃないんだいんだけど、両想いだったのは確かなんだ。…それのせいで永峰は…いじめられていた。」

───ズキンッ
激しい痛みが頭に響いた。
思い出そうとすればするほど、痛み続ける。
痛みに耐えるように、私は目を閉じて頭を押さえた。

そんな私の変化に気づくことなく、森くんは私との過去を話続ける。
思い出せと急かすように・・・。