器用にスルスルと人の間を抜けていく森くん。
あっという間にお化け屋敷から離れた場所へと来てしまっていた。
テーブルやベンチがたくさんある場所で森くんは歩くのを止めて、私の腕を離してくれた。
「突然どうしたの?みんな心配するよ?」
歩いている時から、鞄の中で鳴り続けていたスマホ。
取り出してみると遼くんからの着信だった。
きっと、お化け屋敷の出口で待っているはずの私と森くんが見当たらなく、心配で電話してきてくれているのだろう。
ピッ
「もしもし遼くん?」
『やっと出た!今、どこにいるんだよ!?』
電話に出ると少し怒り気味の遼くんの声が聞こえた。
「ごめんね。今いるのは…」
辺りを見回しながら、自分の居場所を遼くんに伝えようとした。
すると、ヒョイっと森くんにスマホを盗られてしまう。
「悪いけど邪魔しないでくれる?二人で話したいことがあるんだよ。」
一言、電話の向こうの遼くんに言って、森くんは電話を切った。
切る直前、遼くんの怒鳴っているような声が聞こえた気がするんだけど・・・
「森くん…みんなのところ戻ろうよ。」
差し出されたスマホを受け取りながら言う。
やっぱり二人きりは気まずい。
「話したいことがあるんだ。ここ座ろう。」
なんだか有無を言わさない雰囲気で・・・私は言われた通りに、そばのベンチへと座る。
森くんは近くの売店に向かい、飲み物を買って来てくれてから座った。
「ごめんね。無理矢理連れてきちゃって、びっくりしたよね。」
「うん…びっくりはしたけど。…話ってなに?」
渡された飲み物を一口飲んだ。
シュワ~っとした甘さが口の中に広がる。
・・・これコーラだ
「さっきの話の続きなんだけど、俺のことホントに覚えてないの?」
苦手なコーラの味に顔を歪めていると、お化け屋敷でされた質問を再びされた。
下を向いて、記憶を巡ってはみたが、森くんのことは知らない。
───違う
知らないんじゃない
知っているのかわからない
本当に私は覚えていない
ぐっと苦しくなる胸を押さえながら、質問の返事をする。
あっという間にお化け屋敷から離れた場所へと来てしまっていた。
テーブルやベンチがたくさんある場所で森くんは歩くのを止めて、私の腕を離してくれた。
「突然どうしたの?みんな心配するよ?」
歩いている時から、鞄の中で鳴り続けていたスマホ。
取り出してみると遼くんからの着信だった。
きっと、お化け屋敷の出口で待っているはずの私と森くんが見当たらなく、心配で電話してきてくれているのだろう。
ピッ
「もしもし遼くん?」
『やっと出た!今、どこにいるんだよ!?』
電話に出ると少し怒り気味の遼くんの声が聞こえた。
「ごめんね。今いるのは…」
辺りを見回しながら、自分の居場所を遼くんに伝えようとした。
すると、ヒョイっと森くんにスマホを盗られてしまう。
「悪いけど邪魔しないでくれる?二人で話したいことがあるんだよ。」
一言、電話の向こうの遼くんに言って、森くんは電話を切った。
切る直前、遼くんの怒鳴っているような声が聞こえた気がするんだけど・・・
「森くん…みんなのところ戻ろうよ。」
差し出されたスマホを受け取りながら言う。
やっぱり二人きりは気まずい。
「話したいことがあるんだ。ここ座ろう。」
なんだか有無を言わさない雰囲気で・・・私は言われた通りに、そばのベンチへと座る。
森くんは近くの売店に向かい、飲み物を買って来てくれてから座った。
「ごめんね。無理矢理連れてきちゃって、びっくりしたよね。」
「うん…びっくりはしたけど。…話ってなに?」
渡された飲み物を一口飲んだ。
シュワ~っとした甘さが口の中に広がる。
・・・これコーラだ
「さっきの話の続きなんだけど、俺のことホントに覚えてないの?」
苦手なコーラの味に顔を歪めていると、お化け屋敷でされた質問を再びされた。
下を向いて、記憶を巡ってはみたが、森くんのことは知らない。
───違う
知らないんじゃない
知っているのかわからない
本当に私は覚えていない
ぐっと苦しくなる胸を押さえながら、質問の返事をする。

