ひまわり

ピロリン♪
手に持つスマホが音を出した。
びっくりして落としそうになる。
森くん、返事早すぎっ!なんて思って画面を見たけど、森くんからの返事ではなかった。

【大野 裕行】

【写真ありがとう。ケーキも本当にありがとうね。残りも帰ってすぐに食べちゃいました。帰りは他の先生に会わなかった?】

「…きた~!!」

あまりの嬉しさにベッドで飛び跳ねる子供っぽい私。
一人で騒ぎすぎて、一階からお母さんの怒る声が聞こえてきた。

落ち着いて深呼吸
返事を返す。

【喜んでもらえて良かったです!また部活で作ったら先生に持っていきます!誰にも会わなかったので怒られませんでした。】

すると今度はすぐに返事が届く。

【怒られてなくて良かった。お菓子をもらえるのは嬉しいけど、独り占めしていいのかな?】

【作るのが好きなので大丈夫です!先生にために作ります!】

【じゃあ待ってようかな。ただ、今日みたいに長居しないようにね。それではまた明日学校で会いましょう。おやすみなさい。】

【長居しないように気をつけます。おやすみなさい。】

メッセージを送り終える。
気がつくとベッドの上で正座をしていた。

「どれだけ真剣にメッセージ送ってんの…。」

先生とのやり取りを見直す。
喜んでもらえただけでなく、また作ったものをあげる約束までしてしまった。
一方通行じゃなく、ちゃんと続いたメッセージのキャッチボール。
まるで同級生・・・友達のようだ。

スマホを抱きしめながら再びベッドに潜り込む。

返事はきたけど、嬉しさで眠れそうもない。
夢で先生に会いたい気もするけど・・・今日の嬉しさをいつまでも実感していたかった。