ひまわり

他の先生たちに会わずに学校を無事に出れたので、下校時刻を過ぎていたことを怒られないで済んだ。
バス停まで一緒に来てくれるという愛実。
自転車を押して、私の隣を歩いた。

「あの…さ…。さっき先生と何を話したの?」

どうしても気になって、歩きながら聞いてみる。

「結麻が心配するようなことはないよ。でも秘密♪」

ニコニコとしているし、変なことじゃないんだろうけど、隠されるとすごい気になる!

「教えてよ~!もしかして…愛実も先生のこと!!」

「それはないから!私のタイプはキリッとした人。タレ目なで優しげな大野先生はタイプじゃありません。」

「じゃあなに話してたの?」

タイプじゃないのは良かったけど、自分の好きな先生の容姿を否定されると、それはそれでイラッとしてしまう。

「だから、内緒!!そのうちわかるから、楽しみにしていなさい♪」

バスに乗り込む直前まで問い詰めたけど、結局愛実は教えてくれなかった。

「まぁまぁ。それよりも先生の連絡先がわかって良かったじゃん。頑張って連絡してね♪まだ告るには早いから気をつけて。」

なぁんて、しっかりとからかいの言葉をいただきました。

バスの席に座って、ポケットからスマホと先生からもらったメモを取り出す。
先生が書いた字はお世辞にも「キレイ」と言える字ではない。
同級生が書く字と全然変わらない。
むしろ、遼くんのほうが字がキレイかも・・・。

なのに、その字が輝いて見えてしまうのは惚れた欲目かな。