ひまわり

自分が作ったケーキを見ると、良い色に焼けていた。

上手に焼けているのを確認して、鞄からラッピング用の袋を取り出す。
ピンクの花模様の可愛い袋。
それに切り分けたケーキを丁寧にいれた。

一年の頃、作ったお菓子をわざわざラッピングしたことなんてなかった。
だって持って帰って自分で食べるか、部活終わりの遼くんに会ったらあげるって感じだったんだもん。

今から自分がすることを考えるとドキドキしてしまう。

「楽しみだね♪」

なんて愛実がニヤニヤして言うから、余計に緊張しちゃう・・・


片付けをして、挨拶をして、調理室を出た。
向かうは同じ階にある体育館。
そばまで行くと、部活を終えたバスケ部員がチラホラ歩いている。
この感じは終わったばかりかな?

体育館の入り口からそっと中を覗く。
まだユニフォームを来ていない一年生らしき部員がボールを片していた。

「いないのかなぁ~。」

「誰探してんの?」

タオルを肩に掛けた遼くんに声をかけられる。
まだ額に汗が流れていた。

「遼くん!お疲れさま~。えっと…大野先生って…いないかな?」

「先生なら職員室か数学教官室じゃない?」

「そっか!ありがとう!」

先生の居場所がわかり、嬉しくて、すぐに向かおうとした。

「ちょっと待って!」

けれど、遼くんに引き止められ、走り出しそうになっていた足を止めた。