ひまわり

───帰りのバスの中

行きの賑やかだった車内とは全く違い、静かな時間が流れていた。
多くのクラスメイトがバスの揺れに身を任せて眠ってしまっているようだ。
隣の席に座る愛実は小さく寝息をたてている。
ちょっと立ち上がり、後ろの席を覗いてみると、千沙ちゃんともう一人の子も眠ってしまっていた。

起きてる人たちは眠っている人を起こさないように、静かに過ごしている。

一日、バーベキューしたりアスレチックで遊んだりして、疲れて寝ちゃう気持ちもわかる。
私も遠足の帰りは寝て帰る人だから。

でも今日は色々ありすぎて・・・眠れない。

自分の右手を見ると、大袈裟な包帯。
愛実と千沙ちゃん、二人と合流した時は驚かれた。
「その手、どうしたの!?」って。

大野先生に巻いてもらったことと写真を撮ってもらったことを言ったら、自分達のことのように喜んでくれた。

キョロキョロと誰にも見られていないことを確認してからスマホをいじる。
先生とのツーショット写真を見ると、やっぱりにやけてしまう。

少し通路に身を乗り出して、一番前の席を見る。
うっつら、うっつら、先生の頭が揺れているのが見えた。
先生も寝てるのかな
なんて思って、先生の寝顔を想像して一人でクスクス笑ってしまった。