「あーーーっ!、チューしたぁっ!!」
入り口から覗き見た娘の声が響き渡る。
それに慌てて、口の前で人差し指をたてた。
「しー、しー、静かにっ」
「ミナもっミナもっ!」
彼はそこから出ると小さな体を抱き上げ、苦笑しながらその可愛い我儘に答えた。
昔一緒に遊んだ公園は、時と共に風化しつつある。
そして思い出も色褪せつつあり、時の流を感じさせられた。
あんなにここで遊んだのに、面影を残すのはほんの一部で、今では別の場所のようにも思えてしまう。
だけど、
……幼い頃、初めて抱いた恋心。
昔は一緒にいることが必然だったのに、成長とともに訪れた変化は私達に別れをもたらした。
だけど再会して、まだ彼に恋をしていたことを気付かされ、やっと想いを通じ合うことができた。
私達がこれまで辿った軌跡は決して平坦なものではなかったけれど。
叶った想いはやがて薬指の指輪の誓いへと変わって、そして何にも変えられない唯一無二の宝物が生まれた。
お腹の中の新しい命の鼓動を感じながら、薬指にはめられた指輪を確かめるように手を重ねる。
……この想いだけは、変わらないよ。
あの綿毛を飛ばした日から、変わらないものは確かにここにある。
キセキは続くの。
ねぇ、そうちゃん?
【1%のキセキ】 完


