1%のキセキ










……白い天井が動いてる。
何かに乗せられて運ばれているみたい。

慌ただしい声。
どこかで聞いたことがある。
馴染みの声。


あぁ、そうちゃんの声だ……。


そうか、ここ病院か。



「……そうちゃん」

「未結っ、大丈夫か?」

「うん」

そう言ってゆっくり起き上がろうとしたが、体を支えられずふらついたところ、ぎゅっと目の前の人に抱きしめられた。


「……良かった」

強く抱きしめられ、ちょうど前にいた看護師さん達と目が合う。

恥ずかしくていたたまれなくて、すぐさま目をそらした。
そして無遠慮に所構わず抱きしめてきた恋人を引っぺがしにかかる。


「そ、そうちゃん、ここ、病院……っ」

顔を赤くする私とは打って変わって、そうちゃんの顔は真剣そのもの。

私の腕を強い力で掴んで私の目をじっと見つめる。


「名前言ってみろ」

「え?」

「いいから、名前」


急かされるように問われ、素直に従った。


「に、西川未結」

「誕生日は?日付は、ここはどこだ?」


立て続けに質問され、そのまま答える。

次はペンタイプのライトで瞼を開かされ、目に眩しい光を当てられた。


「手も足も動くな?」

そう聞かれ、目の前で両足を挙げて、両手をグーパーグーパーしたりバンザイしたりする。

そういえば、以前頭を打って来た時にも一通り同じ検査をされた。

それからは、パソコンに向かって私の頭の中のモノクロ写真を真剣に見つめていた。


「そ、そうちゃん」

「なんだどこか痛いのか?」


矢継ぎ早にそう聞かれ、思わずくすっと笑ってしまう。


「なんだよ」


そんな私にそうちゃんは眉をしかめる。


「だって、嬉しくて。そうちゃんが必死になってくれるのが」

「必死になるよ、どれだけ心配したと思ってるんだ」