今度は私からキスをした。
唇を離し、互いに顔を見合わせる。
「そうちゃん、心臓やばい……っ」
「あぁ、俺も」
おでこをくっつけあって声も出さずに笑った。
また、お互いどちらともなくキスをする。
今度はすぐに離れなかった。
触れるだけのものだったのが、深いものへ変わる。
「キスするのいつ振りだろう?」
「え?」
「あまり、彼とはこんな風にしたことなかったから」
不意に彼の話題を出した瞬間、そうちゃんの顔色が変わった。
しまったと思うも、時すでに遅し。
なんでこんな時に、前の彼のことなんて口走るの……っ。
多分、恋人というより、昔からのお友達気分が抜けなくて、つい出てしまったのだろう。
なんて冷静に、分析してる場合じゃない……っ。
あぁ、なんで私はムードをぶち壊すことしかできないんだろう。
本気で泣きたくなってきた。
ちょっと怪しくなった雰囲気、それでも行為は続けられた。
しかし、さっきまで照れくさくて笑い合っていたような甘いムードはもうない。
私も、いざ自分の服を脱がされて、自らも服を脱ぎ捨てたそうちゃんの裸を見ると、もうそんな余裕もなくなった。
わだかまりが残るまま互いに感じる場所を愛撫する。
そして、ついにそうちゃんのが私の入り口まで入ってきたところで、たまらず全身に力が入った。
「未結、大丈夫?」
体を強張らせる私に気付いて、すぐに声をかけてくれる。
「だ、大丈夫」
そう言いながらも体はかちこちのまま。
キスをしてくれて緊張をほぐそうとしてくれるけど、さっきのように上手くはいかない。
なんでこんなこと今まで一度だってなかったのに、本当に初めての時みたいに力が入って……。
「未結、力抜いて」
「そうちゃん、ごめん無理……っ」
力抜くってどうやるんだっけ、頭は軽くパニックに陥る。
30近くにもなってまともにできない自分に腹が立って、情けなくてぽろぽろ涙が零れた。


