私はと言うと、そうちゃんのことで頭がいっぱいになっていた。
二杯目のグラスに口をつけながら、恐る恐るそうちゃんの方を見る。
普通に仲間内で笑い合うそうちゃんの横顔。
『私は、やっぱりそうちゃんが一番好きです。
そして、私の夢はそうちゃんのお嫁さんになることです』
手に持っていた、小学生の頃の想いを握りしめる。
その想いは、変わっていない。
私は、そうちゃんが好きだ。
でもそうちゃんは、想っても手に入らない存在だと思っていた。
しれは昔から嫌っていう程味わってきたんだ。
誰かを好きになれるよう頑張って付き合っても、結局その陰にはそうちゃんがどうしてもちらつく。
でも、人を好きになろうと努力しなくちゃいけない時点で、おかしかったのかもしれない。
そんな中、結婚までこぎつくことができた彼がいた。
そして、いつしか彼の存在はそうちゃんを忘れさせてくれる位大きなものになっていた。
それなのに私の気持ちをかき乱すように、突如現れたそうちゃん。
しかも結婚一か月前に。
大人になったそうちゃんは驚くほど更にかっこよくなっていた。
私がカエルやヤモリを持って、追いかけては泣かせていた弱虫な男の子とは到底想像がつかなくて。
でも、それでも彼への気持ちは揺るがなかった。
いくら暴力をふるう彼でも、それは私の気持ちを確認したいがためにしていた行為であって、心から愛してくれていると信じて疑わなかった。
でも、そんな時、そうちゃんが彼は私自身なんかよりも自分の不安を払拭させることを優先しているただの独りよがりな男だと言った。
私の心は大きく揺らいだ。
でも、結婚するんだと意固地になっていて、薄々自分でも気づいていたその事実をどうしても認めたくなかった。
自分の都合の良いように、彼の好意をはき違えていた馬鹿な私を、そうちゃんは体を張ってそれに気付かせてくれた。


