「……未結、一体どういうことなのかしら」
「婚約者と別れたばかりなのよね?」
静かに、でも確実に勢いを増す炎。
私が詰め寄られている状況を把握したそうちゃんが慌てて助け舟を出してくれた。
「あーそれ、俺が強引に詰め寄っただけだから。そいつ責めないでやって」
「だから西川泣いてたのかー」
振り返ると、そうちゃんはしゅんちゃんに肩を組まれ男共のところへ連行されているところだった。
そうちゃん……っ。
そして、お前はもう黙れっ、と心の中で悪態をついて隣の馬鹿を睨む。
うるうると涙目で、男共のところへ連れていかれるそうちゃんの後ろ姿を見つめる。
本当は違うのに、私を庇うために自分を貶めるようなことまで言って……。
しかし心の中で、眉をしかめる。だって……。
それ全然フォローになってない。
ついに業火へと変貌した彼女達の怒り。
まるで燃え盛る炎が目に見えるかのよう。
「……で、どういうことなのかしら」
「ど、どうもこうも、冗談だよ。私なんかそうちゃんが相手にする訳ないじゃん、たまたま送ってってもらっただけで」
疑惑の目を向けられ、不自然に笑って誤魔化す。
こんな流れで、自分でもちょっと無理かと思ったけど、案外すんなりほとぼりは治まった。
「まぁ、そうだよね。いくら幼馴染で仲良くてもさ、未結と宗祐君じゃ釣り合わないよねー」
自分でも心底思っていることだが、ズバリと友達に言われ、思わず唇を尖らせる。
「もー、何もそこまで言わなくたっていいでしょー」
「あはは、ごめん、ごめん。未結だけじゃなくて、もちろん私達も含めてね。てかここにいる皆、宗祐君とは釣り合わないよね」
そう言って周囲を見渡す友達。
「まぁ、どんなに見てくれ綺麗にしたって、所詮、皆田舎娘だしねー」
「きっと東京で見つけたさ、うちらとは違って洗練されたモデルみたいな彼女がいるんじゃない?」
「まぁ1人2人いてもおかしくないね」
「あのルックスで医者だもんねー」
はぁと、まるで皆揃えたようにため息をついた。


