ぽつん、と一人取り残されたあたし。
「とりあえず、友達ってことだよね?」
うん。いまはなにも考えないでおこう!
そう思って、一歩踏み出した瞬間ーー
「ねぇ、ダメなの!?私…………伊吹が……」
「うるっせぇな。もう俺に話しかけんじゃねぇよ」
日向くんの…………声?
建物の向こうから聞こえてきた。
どうしたんだろう?
ひょこっと覗いて見ると、日向くんに必死にしがみつく女の子がいた。
「えっなにあれ!!」
女の子のほうは泣きながら日向くんの服を引っ張り、行かせまいと叫んでいる。
日向くんのほうはというと、めんどくさそうに上から彼女を見下ろしている。
「ねぇ、お願い!もう一回だけ抱いて!」
「あぁ?ざけんじゃねぇよ。
最初から恋愛感情なしっつってんのに告白してきたやつを抱けるかよ。」

