王子に恋する天使ちゃん

歌があたしの唯一自慢できる特技ですから!



「ふーん。じゃ、やっぱあの声はお前か。」

「へ?」

「別に、なんでもねぇよ。」


何かボソッと呟いた日向くんの声はよく聞き取れなかった。



「ま、話はそれだけ。
じゃあな。」


そう言って、あたしに何かを投げると日向くんはスタスタと歩いていってしまった。


「あ……ちょっと。
ってこれ、キャンディだー!」


あたしの好きな味ではないけど棒付きキャンディをもらえたことが嬉しくて、ルンルン気分で教室へと戻った。