重たい足をなんとか上げて、階段を一歩一歩のぼる。
相ケ瀬くんの部屋に近づくたびに変な緊張感が増してくる。
部屋の前のドアまで着くと
―トントン
とノックして、『はい』という声が中から聞こえてくるとゆっくりドアを開けた。
「あの…お母さんから頼まれてホットミルク持ってきたよ。
あと、夜遅くに一ノ瀬先輩の話題出して騒いで怒らせちゃってごめんね」
一方的に用件を全部言って、相ケ瀬くんのそばに行ってマグカップを渡して出ようとした時「あんた」と声を掛けられてしまった。
「な、なに?」
早く自分の部屋に帰らせてよ。
あたしはもう相ケ瀬くんと話すことなんてないよ。